超サイバー社会に向けたソーシャル×ビッグデータ基盤技術の展望

ソーシャルビッグデータICT連携研究センター設立一周年記念シンポジウム


【主催】 東京大学生産技術研究所(IIS) 情報通信研究機構(NICT) 国立情報学研究所(NII)

【日時】 平成27年6月2日(火)13:00-17:45

【場所】 東京大学 駒場リサーチキャンパス 生産技術研究所 An棟 2階 コンベンションホール [アクセス情報] [キャンパスマップ]



開催概要

【趣旨】

近年、情報通信技術分野は第3のパラダイムを迎え、実世界とサイバー空間の融合、ビッグデータの活用等により、様々な社会・経済活動において課題解決や新たな価値を創出することが求められております。

このような社会的要請に応えるため、東京大学生産技術研究所(IIS) 、情報通信研究機構(NICT)、国立情報学研究所(NII)の3機関は、公共性を有する「ビッグデータ」を「ソーシャルビッグデータ」と位置付け、ソーシャルビッグデータに関する技術を確立し社会に貢献することを目的に平成26年4月に連携研究センターを設立しました。現在、この連携研究センターにおいて3機関の研究者が関連する基盤技術の研究開発に共同で取り組んでおります。

今回のシンポジウムでは、IIS-NICT-NII連携研究センターにおける研究成果を中心に、従来のサイバー社会を超えた社会の到来を見据え、ソーシャル(多様な社会・経済活動など)とビッグデータの更なる相乗効果を図るための最新の技術動向等について、IIS、NICT、NIIの研究者が紹介するとともに、ご参加の皆様からご意見を頂戴し、当該分野の今後の方向性等について議論を深めて行きたいと考えております。

多くの皆様のご参加をお待ちしております。




参加申し込み

定員になりましたので受付を終了しました


参加申し込みに関するお問い合わせは下記のメールアドレス宛にお願いします。
bigdata-regist-ml (at) khn.nict.go.jp

プログラム

オープニング

司会:佐藤 洋一(東京大学生産技術研究所 副所長)

13:00-13:05 開会挨拶  藤井 輝夫東京大学生産技術研究所 所長)

13:05-13:10 来賓挨拶  武井 俊幸(総務省官房総括審議官)

13:10-13:40 基調講演1 『情報通信第3のパラダイムとソーシャルビッグデータイノベーション』

【講演者】 坂内 正夫(情報通信研究機構 理事長)

【講演概要】 実世界とサイバー世界の融合による新たな価値創成に向けて、必要とされるビッグデータに関わる新たな情報通信技術について、NICTの活動や本連携研究センター設置の思いを交えて述べる。

【略歴】 1946年生まれ。東京大学大学院工学系研究科修了。1998年東京大学生産技術研究所所長、2002年国立情報学研究所副所長、2002年から生産技術研究所教授を併任。2005年国立情報学研究所所長。ITS(高度道路交通システム)をはじめとするマルチメディア情報処理研究が専門。情報・システム研究機構理事、総務省情報通信審議会会長代理、同情報通信技術分科会長、ITS Japan副会長などを歴任。2013年より情報通信研究機構理事長。



13:40-14:10 基調講演2 『ソーシャルビッグデータとオープンデータ』

【講演者】 喜連川 優(国立情報学研究所 所長/東京大学 生産技術研究所 教授)

【講演概要】 社会に貢献するビッグデータの利活用についてその取り組みを紹介すると同時にデータのオープン化共有化についても考えたい。

【略歴】 1983年東京大学工学系研究科情報工学専攻博士課程修了。工博。東京大学生産技術研究所教授、2013年4月より国立情報学研究所所長、2013年6月より情報処理学会会長、データベース工学の研究に従事。電子情報通信学会業績賞、情報処理学会功績賞、ACM SIGMOD E. F. Codd Innovations Award 受賞。ACM、IEEE、電子情報通信学会、ならびに情報処理学会フェロー。




NIIセッション

司会:木俵 豊(情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所 研究所長)

14:10-14:40 講演1 『ソーシャルCPSの実現に向けて:社会サービスを変革する情報技術』

【講演者】 安達 淳(国立情報学研究所 副所長)

【講演概要】 NIIでは、2012年から5年計画で「社会システム・サービス最適化のためのサイバーフィジカルIT統合基盤の研究」を推進している。これは文部科学省から資金を得て、北海道大学、大阪大学および九州大学の計4機関の共同研究として行っているもので、サイバーフィジカルシステム(CPS)の基盤的IT技術を開発・統合し、さまざまな社会システム構築のためのプラットフォームとして構築しようとするものである。社会を支えるサービスを効率化・高度化するために、多様なセンサーや情報源からのデータを収集・蓄積し、多面的な解析を加え、その結果をフィードバックしようとするモデルを提案している。研究期間の後半に至り、札幌市における冬季の除排雪や大学キャンパスやビルにおけるエネルギー利用の効率化の二つのテーマで実証実験を行いつつあり、今までに得られた成果や知見を紹介する。

【略歴】 1981年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。東京大学大型計算機センター助手、文部省学術情報センター研究開発部助教授、教授を経て現在国立情報学研究所教授。副所長を兼務。東京大学大学院情報理工学研究科教授を併任。データベースシステム、情報検索、テキストマイニング等の開発研究に従事。電子情報通信学会、情報処理学会、データベース学会、IEEEACM 各会員。




14:40-15:10 講演2 『高速・高精度視覚情報検索によるソーシャルビッグデータ解析』

【講演者】 佐藤 真一(国立情報学研究所 教授)

【講演概要】 ソーシャルビッグデータ等を「ビッグ」としているのは今や画像や映像等の視覚情報であり、その内容解析なくしては本当のソーシャルビッグデータ解析はなしえない。一方、画像・映像は本質的にデータサイズが大きく、ビッグデータ解析のためのスケーラビリティへの要求はテキストや数値データ等に比べて顕著に高い。さらに、視覚情報の内容解析は、セマンティックギャップの存在により本質的に困難であり、高精度の検索が実現できなければビッグデータからの有用な情報は何ら得られない。本講演では、高速・高精度の視覚情報解析・検索技術により可能となった視覚情報に基づくソーシャルビッグデータ解析として、高速コマーシャル映像マイニング技術と、放送映像とblogとの視覚情報に基づく影響解析技術について紹介する。

【略歴】1987東京大学工学部電子工学科卒。1992同大大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程了同年学術情報センター助手。1998同助教授。2000国立情報学研究所助教授、2004同教授現在に至る1995から1997まで米国カーネギーメロン大客員研究員としてInformedia 映像ディジタルライブラリの研究に従事工博画像理解画像データベース映像データベース等の研究に従事電子情報通信学会情報処理学会、IEEE CS、ACM各会員




(休憩 15:10-15:30)

NICTセッション

15:30-16:00 講演1 『テキストビッグデータから知恵を探す:大規模情報分析システムWISDOM XDISAANA』

【講演者】 鳥澤 健太郎(情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所 情報分析室 室長)

【講演概要】 WebSNS等のテキストビッグデータから、単なる検索ではなく「知識」「知恵」を探すシステムとしてNICTで開発、一般公開している大規模Web情報分析システム WISDOM Xと対災害SNS情報分析システムDISAANAについて、そのバックボーンにある技術、今後の研究の展開について述べる。

【略歴】 1992年東京大学理学部卒業。1995年同大学院博士課程中退同大学院助手、JSTさきがけ研究21研究員兼任、北陸先端科学技術大学院大学助教授を経て、現在、情報通信研究機構情報分析研究室室長。博士(理学)。WebSNSを対象とした大規模自然言語処理の研究に従事。日本学術振興会賞など受賞





16:00-16:30 講演2 『サイバー・フィジカル・ソーシャルデータの横断的利活用基盤』

【講演者】 是津 耕司(情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所 情報利活用基盤研究室 室長)

【講演概要】 センサーデータから科学データ、ソーシャルデータに至るまで、実世界を反映した様々な分野のオープンデータを収集し、分野横断的に検索・統合・可視化することで、環境変化と人・社会の動きの相関を幅広く解析する情報利活用基盤技術と、ゲリラ豪雨や大気汚染などの環境問題を対象とした応用システムについて説明する。

【略歴】1992年日本IBM入社。2003年通信総合研究所入所、2005年情報通信研究機構研究員を経て、2011年より同ユニバーサルコミュニケーション研究所情報利活用基盤研究室室長、現在に至る。博士(情報学)。キール大学コンピュータ科学研究所招聘研究員 (2009)、京都大学連携准教授(2008-2012)、電子情報通信学会データ工学研究専門委員会 副委員長 (2011)など。データベース、情報検索、ソフトウェア工学の研究に従事。




IISセッション

16:30-17:00 講演1 『ソーシャルメディアと実世界データのビジュアルフュージョンに向けて』

【講演者】 豊田 正史(東京大学 生産技術研究所 准教授)

【講演概要】 メディアと実世界が相互に影響を与え合う世の中において、ウェブ・ソーシャルメディア・実世界センサデータ等、多様なデータを併せて活用することが重要な時代が訪れている。我々は、多様なデータを視覚的に融合・分析するフレームワークを構築しており、ソーシャルメディア、交通データ等の視覚的分析事例を通してその一端を示す。

【略歴】 東京大学生産技術研究所准教授。1994年東工大・理・情報科学卒。1996年同大大学院情報理工学研究科修士課程了。1999年同大学院情報理工学研究科博士後期課程了。博士(理学)。同年、科学技術振興事業団計算科学技術研究員。ウェブ・実世界データ分析、情報可視化、ユーザインタフェースの研究に従事。





17:00-17:30 講演2 『ビッグデータ時代の最先端データベース基盤技術』

【講演者】 合田 和生(東京大学 生産技術研究所 特任准教授)

【講演概要】 数百テラバイト、更にはペタバイトを超える規模のビッグデータが、随所に見られるようになってきた。当該ビッグデータの本格的な利活用により、社会や経済を効率化し、また、新たな高付加価値ビジネスを生み出す機運が高まっており、その礎となる強力な基盤技術へのニーズは極めて高い。本講演では、内閣府FIRST等に於いて研究を進めてきた超高速データベースエンジン等、最先端のデータベース基盤技術を紹介する。

【略歴】平成12年、東京大学工学部電気工学科卒業、平成17年、同大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻博士課程単位取得満期退学。同年、博士(情報理工学)。日本学術振興会特別研究員等を経て、現在、東京大学生産技術研究所特任准教授。データベースシステム、ストレージシステムの研究に従事。情報処理学会、日本データベース学会、ACMIEEEUSENIX各会員。




クロージング

17:30-17:45 閉会挨拶 富田 二三彦(情報通信研究機構 理事)