Windows環境においてLaTeXで(英語の)論文を書く際の備忘録です。論文を書くという目的に集中してトピックを集めたページはあまり無かったのでまとめてみることにしました。環境整備・締め切り間際で役立つのテクニックなど。
まずは LaTeX を書く環境を揃えないことには話になりません。Windows 95以降の環境では、まずは以下を揃える必要があります。
これに加えて、様々なUnixツールを使うために cygwin を入れておくと良いでしょう。
Unix/Linux なサーバに繋げて X 経由で作業している人はこれらの環境は既に揃っているでしょうから、ここは読み飛ばして次に行ってください。
Windows環境だと色々なエディタがありますが、周辺ユーティリティの充実具合から、ここでは Emacs を使うことにします。Windows 環境では Emacs on Cygwin, NTEmacs, Meadow の3つの選択肢があります。英語で論文を書く場合はどれでもそれほど変わりませんが、日本語で論文を書く場合は日本語 IME によるインライン入力に対応している Meadow が一番良いでしょう。
LaTeX 文書が書けたら、次に、書いた LaTeX 文書をプレビューできる形式に変換するために必要な LaTeX一式を揃える必要があります。Windows 環境では、LaTeX on Cygwin か角藤さんの最新バイナリで揃えるのが楽です。特に、日本語を使う場合は p(La)TeX が必要なので、選択肢は後者になります。
LaTeX文書は最終的にDVI/PS/PDF形式に変換してプレビュー・投稿・印刷することになります。論文の場合、最近の学会の投稿規定では、(Compressed) PS or PDFの形で電子投稿することが多くなっています。特に PDF 形式が最近は好まれるようです。
各フォーマットはそれぞれ、以下のような特徴があります。
TeXやLaTeXで作成した文書を、デバイス独立な出力形式に変換したものです。通常 LaTeX 文書から latex コマンドにより生成されます。EPS形式を含むものをプレビューしたり、Postscript プリンタで印刷するためには通常次の PS 形式に変換する必要があります。プレビューワとしてはdviout、プリンタドライバとしてはdviprtがあり、dviout/dviprt 情報から入手できます。
以前は非力なマシンでは PS 形式のファイルを開くのが重かったためDVI形式で見ることが多かったですが、最近のマシンであればそれほど重くないため PS 形式まで一気に変換してしまうことが多いです。特にEPS形式の画像が入ったLaTeX文書の場合、PS 形式まで変換してプレビューする機会が多くなっています。
Adobe の規格であるプリント・ページ記述言語 PostScript で記述されたファイル形式のことであり、上記 DVI 形式のファイルを dvips/dvipskコマンドにより変換することで生成されます。PS 形式のファイルは Postscript プリンタで直接印刷したり、Ghostviewという Postscript インタプリタを通して印刷をすることができます。PostScript プリンタは高価なため、通常は Ghostview のフロントエンドである GSview を用いてプレビュー/印刷することが多いです。Ghostview/GSviewはGhostscript, Ghostview and GSviewから入手できます。
現在の論文作成・構成プロセスで最も使用頻度が高いのはこの形式でしょう。PS 形式はPostscript言語で書かれたasciiのファイルなので他の形式に比べてサイズが大きいことが多く、電子投稿の際には gzip などで圧縮して投稿することになります。
Adobeによれば、「PDF(Portable Document Format)は、世界中で利用され、配信用電子文書として業界標準のフォーマットと言えます」とのことで、確かに論文投稿に限らず様々な場所で目にします。TeX 文書からの生成方法も様々で、 LaTeX 形式から pdflatex コマンドを用いて直接生成したり、DVI 形式のファイルから dvipdfm コマンドにより変換することで生成したり、PS 形式のファイルから Acrobat Distiller または ps2pdf コマンドにより生成したりします。良質のPDFファイルを生成するためには少しコツが必要です。プレビュー・印刷のためには Acrobat Reader というソフトがあり、Adobeのサイトから入手できます。
MS word形式などの様々な形式から変換することができ、バイナリで圧縮されているためサイズも比較的小さいことから、近年の論文投稿では最も指定されることの多い形式です。
これらを揃えればとり合えず必要最低限の道具は揃ったことになります。さらに効率的に作業を進めるために役に立つツールは以下で LaTeX の文書を書く際に揃えておくと良いツールとして紹介することにします。
LaTeX で書いた論文中に絵を入れる場合、jpg や gif などのお馴染みの画像形式の絵を入れることもできますが、大概は encapsulated PostScript (EPS) と呼ばれる画像形式の絵を入れることが多いです。EPS 形式というのは、Postscript + boundary box(図の境界に関する情報)だと思ってもらえばよいでしょう。
研究室のOBの牧野さんのページ(Windows で EPS の絵を描く)にもありますが、 一通りの研究環境が揃っていると仮定して、それに最小限の追加で eps な絵を得る方法について説明します。
後は、eps にしたいファイルを作成した後で、このプリンタドライバを使って figure.prn というファイルに postscript を出力します(プリンタとしてPSprintを選んで印刷を選択すると、印刷するファイルを聞かれる)。最後に、これをコマンドラインから、ps2eps -B -f figure.prn > figure.eps
と打って変換してやれば良いです。latex 中でファイルを取り込むには、プリアンブルに \usepackage[dvips]{graphicx}
と書いて、絵を入れたいところに\includegraphics[width=0.9\textwidth,clip]{figure}
というように書けば良いでしょう。
以下はFAQ
angle=-90
とつけましょう。\includegraphics のオプションで,width と height が入れ替わるのに注意しましょう。# This Makefile needs GNU make
#
# copy this file to the directory where your eps figures are
# and simply run make in order to update the pdf's
#
# this does not work on Solaris with GNU make 3.77 (propably a bug)
PRN_FILES = $(wildcard *.prn)
EPS_FILES = $(wildcard *.eps)
# use this instead
#EPS_FILES = $(shell dir *.eps)
EPS := $(patsubst %.prn, %.eps, $(PRN_FILES))
default: $(EPS)
eps: $(EPS)
all: $(EPS)
%.eps: %.prn
ps2eps -B -f $<
.PHONY : clean
clean :
-rm -f *.eps *.pdf
wmf2eps というツールもありますが、絵を描くときにサイズを気にしなくて作れ、また GUI で操作しやすいという反面、時々うまく変換できない(グレーの網をかけたりしているとき)ことがあるので使っていません。出来上がる eps の質やサイズはあまり変わらないようです。こちらを使う場合は、「TeXに張り付けるEPS形式の図をWindows上で作成する方法」を参考に。
論文の投稿規定では、Times などの PS フォントを指定されることがあります。PS フォントは DTP (Desk Top Publishing) 関係でよく使われるフォントの一つ(参考: DTP 関係のフォントについて)で、latex のデフォルトのフォントである Computer Modern Font に比べ、スクリーン上での可視性が高く、高品質の印刷を得ることが出来るという特徴があります。
windows で角藤さんの最新バイナリを入れているなら、単にプリアンブルに \usepackage{times}
と書けば Times 系フォントが使えます。
論文の投稿規定ではたいがい、フォーマットの規定のところでページ数かワード数によって長さを指定されることが常です。ワード数の指定がある場合、通常の word count コマンド(例えば wc on cygwin)では latex のコマンドも数えてしまうので通常より多くなってしまいます。そういう場合は detex コマンドを使って latex のコマンドを消してから wc にかければ良いでしょう。detex は DeTeX Home Pageから入手できます。detex をかける際には latex 文書が途中で壊れていないか(要するにコンパイルが通るかどうか)注意する必要があります。
ついでに、Emacs 上から編集中の LaTeX ファイルのワード数をモードラインに表示する emacs lisp を Word count for LateX documents に書いておいたので参考にしてください。
論文を英語で書いていると日本人ならまずスペルミスが混入します。これを何とかしないといけないわけですが、スペルチェッカの機能をデフォルトで持つエディタで最初から編集したり、MS word 等に貼り付けて編集したりする方法がありますが、十分な機能を持つエディタでなかったり、tex に対応してなくてコマンドが真っ赤になったりとなかなか思うようには行きません。そこで、メジャーな単体のスペルチェッカである、ispell, aspell をエディタに組み込むことを考えます。
この 2 つのスペルチェッカの違いは aspell が後発で ispell を元に訂正候補をより賢く推定するようになっているとよく言われているようです(Aspell Spell Helper で訂正候補を確認できます)。また ispell には International ispell (ver 3-) と GNU ispell (ver 2-, 4.0) とがありますが、国際版はGNU版に比べてtex形式のサポートや、多国語サポート等論文を書く上では役に立つ追加機能が豊富なので、ipsell を使うのであれば国際版を使うのが良いでしょう。latex の文書を扱うときは -t オプションをつければ良いです。
また、日本人であれば、論文中に日本語で「ここはアルゴリズムの健全性についてちゃんと書く」などとコメントを書くことがあると思います。ispell や aspell でこうした日本語交じりの文章をスペルチェックしたい場合は ispell v3 なら角藤さんの修正版を使うと良いでしょう。aspell については調べ中。
ついでに、Emacs 上から編集中の LaTeX ファイルに対して ispell や aspell をかけたい人のために、ispell.el があります(aspell には v 3.5 以降で対応)。上記ファイルを取ってきて、「Minor Mode 関係の設定」にあるの通りに設定してください。また、Emacs では上記 ispell.el が入っていれば flyspell という word のようなオンザフライでスペルミスに下線を引いてくれる emacs lisp もありますが、windows ではとても重いので常用することはなさそうです。
これらのスペルチェッカは他の Emacs 系以外のエディタからも呼び出せるようです。例えば秀丸や xyzzy(鈴木さんによる解説(日記))など。
論文を書く際に必要になる LaTeX の Tips です。締め切り用のページを減らすためのトリックは別項目になっています。
案外良くあることですが、二段組などで書いているときに、description 環境のタイトルが一行中に収まらないときがあります。かといってタイトル中で \newline などしても効かないし困ったことなのですが、こういうときは単に \item[タイトルで一行に収まる分] \textbf{残りのタイトル}
とすれば実質的には解決されます。
図表をその場所に出したいと思ったとき table や figure 環境で指定するオプションは [h] ですが、それでもうまく出ない場合には、[!h] などとすれば、 だいたいうまくいきます。それでもうまくいかないときは、一ページの図の数の上限を増やしたり、図表のとるマージンを変更すればよいです。
未知語など latex が正しいハイフネーションを知らない長い単語を書いたり、多段組にしたりすると、ハイフネーションなどがうまくいかず字が行末から外れてしまうときがあります。これは latex コンパイル中に overfull \hbox ...
というメッセージが出るのでそれを見ていくか、\documentclass のオプションで draft と指定すれば視覚的に見つけることができます。これらは論文の体裁上みっともないので、できれば直したいところですが、具体的には、1) LaTeX に単語のハイフネーションを教えたり、2) overfull が起きるときに単語を積極的に次行に送って単語間のマージンを均等にとるようにしたりすることで解決することが出来ます。
1) を実現するには、\hyphenation
を使ってハイフネーションのを指定します。例えば subcategorization という単語のハイフネーションを指定したい場合は、プリアンブルに \hyphenation{sub-categorization}
のように記述すればよいです。なお、一時的にハイフネーションの規則を変えたいときは、 ハイフネーションをする位置を\-
で指定します。例えば、sub-categorizationを、 subcate-gorization にしたい時は, 「subcate\-gorization」とします。
2) については、プリアンブルに \floppy
と記述すればよいです。ただ、多段組形式の論文の投稿を求める学会では大概 \floppy の入ったクラスファイルを提供・指定している場合が多いのでこれは効果がありません(というよりもともと overfull が起きていないはずです)。
一段組で、スペース削減のために複数の図や表を横に並べたいときがあります。そういうときは、minipage コマンドを使って以下のようにします。
%% 図を横に並べる場合
\begin{figure}
\begin{tabular}{cc}
\begin{minipage}{0.4\textwidth}
Left Figure\caption{Caption Left}\label{fig:right}
\end{minipage} &
\begin{minipage}{0.4\textwidth}
Right Figure\caption{Caption Right}\label{fig:left}
\end{minipage}
\end{tabular}
\end{figure}
しかし、これで caption をつけると両方とも一番外の float 環境の形式になってしまうので、図 (figure) と表 (table) を並べると caption が変になってしまいます。本当は、multicol.sty などを使うのが良いのかもしれませんが、例えば ad hoc には以下のようにしてしまいましょう。
%% 図と表とを横に並べる場合
\begin{figure}
\begin{tabular}{cc}
\begin{minipage}{0.4\textwidth}
Left Figure\caption{Caption Left}\label{fig:right}
\end{minipage} &
\renewcommand{\figurename}{Table}
\setcounter{figure}{nt} %% 表の番号をセット
\begin{minipage}{0.4\textwidth}\caption{Caption Right}\label{fig:left}
Right Figure
\end{minipage}
\end{tabular}
\end{figure}
\renewcommand{\figurename}{Figure}
\setcounter{figure}{nf} %% 図の番号をリセット
新しい記号を作りたいときや(argmax という記号を作りたいとか)、二つの記号を組み合わせて一つの演算子を定義したいときや(= の上に def を載せたいとか)、既存の記号の下に記号を加えたいとき(\bigcup などの記号の下に何段も変数の範囲を書きたいとか)は、それぞれ以下のようにすればよいです。
\newcommand{\argmax}{\mathop{\rm argmax}\limits} % 新しい記号を定義する場合
% (下に添え字を出す場合)
\newcommand{\def}{\stackrel{\rm def}{=}} % 組み合わせで新しい記号を作る場合
\bigcup_{\stackrel{\alpha \in I}{S \in \alpha}} % 添え字を二段にしたいとき
数式番号をふるには、基本的には \eqnarray を使えばいいのですが、数式が複数行にまたがってしまうときや、一行に収まっても数式番号を打つスペースが得られなかったときは、ちょっと工夫が必要です。これは \eqnarray 環境中で \nonumber
か \notag
を使って以下のようにすれば解決できます。
% 数式が複数行にまたがるとき
\begin{eqnarray}
x^4 - 16 & = & (x^2)^2 - 4^2 \nonumber \\
& = & (x^2 + 4)(x^2 - 4) \nonumber \\
& = & (x^2 + 4)(x + 2)(x - 2)
\end{eqnarray}
% 数式が長過ぎるとき
\begin{eqnarray}
f(x) & = & x + x^{2} + x^{3} + x^{4} + \ldots \nonumber
\end{eqnarray}
% 特定の行に数式番号をつけたくないとき
\begin{eqnarray}
f(x) & = & x + x^{2} \\
g(y) & = & y^{3} \nonumber
h(z) & = & z^{2} - z^{4} \\
\end{eqnarray}
論文を投稿する際にフォーマットで定められたページ数にどうしても収まらなくて困るときがあります。基本的には表現や内容を推敲してページ数内に収めるわけですが、どうしてもそれが出来ないとき、ページ数に収めるためのトリックです。基本的に以下は様々なところのマージンを変更したりフォントサイズを変更したりて縮めるものなので、学会側で投稿時のマージンを変更することが禁止されている場合は使えません。また、これらのうちいくつかのトリックは proceeding に採録される他の論文との見栄えの統一感を崩すことになるので、camera-ready 時には使うべきではありません。
以下に、査読者に負担を強いらないと思われる順に並べておきます。下に行くほど効果がありますが、査読者に大きい負担をかける(あまりにひどい場合はそれだけでリジェクトの原因になりうる)ことを承知しておいてください。
まずは参考文献からです。これは地味な修正ですがかなり効果があります。方法は簡単で、author フィールドでは名字を短縮し、booktitle フィールドでは学会名を短縮したものを用い、必須でないフィールドは排除します。例えば、
@InProceedings{yoshinag2001c,
author = "Naoki Yoshinaga and Yusuke Miyao",
title = "Grammar conversion from {LTAG} to {HPSG}",
booktitle = "Proceedings of the Student Session of the 13th European
Summer School in Logic, Language and Information",
year = "2001",
address = "Helsinki, Finland",
pages = "309--324",
}
なら、
@InProceedings{yoshinag2001c,
author = "N. Yoshinaga and Y. Miyao",
title = "Grammar conversion from {LTAG} to {HPSG}",
booktitle = "Proc. of the sixth ESSLLI Student Session",
year = "2001",
pages = "309--324",
}
のようにします。参考文献には、論文を読んだ人が確実に当該文献を見つけられるように細かい情報を載せるべきですが、最近では Web 上で論文を公開している研究者の割合も高くなっており、各フィールドの必須項目以上の情報を載せる必要は実質的にあまりないようです。
footnote はフォントサイズが本文中より二段階小さいので、footnote にまわしてしまえばスペースが浮くと安直に考えがちですが、本文中と footnote との間の横線が割りにスペースを食うのと、同じページ内にfootnoteが入らなければならないという制約から、逆にスペースを食うことが多いです(特に一ページに一つ、一行の footnote があったりする場合)。そういうのは論理的に本文中に入れるべきなら積極的に元に戻したほうが良いでしょう。
デフォルトの table / array 環境の行間は広いことが多いです。まずはこれらのマージンをなんとかしましょう。個人的には table / array のフォントサイズは \small ぐらいがちょうど見栄えが良くなる場合は多いのでフォントサイズも小さくすることがあります。
\renewcommand{\arraystretch}{0.9} % table / array の行間のマージン
沢山の図表の入った論文を作る場合、図表と図表への参照を同じページに収めようとしていると、一ページに入る場合が往々にしてあります。そういう場合にはプリアンブルに以下を書いて調節します。
\setcounter{topnumber}{3} % ページの上部に含める図表の数
\def\textfraction{.2} % ページ内の文章領域の最小の割合
\setcounter{dbltopnumber}{2} % ↑の二段組 version
\def\topfraction{.9} % ページの上部で図の占める割合の上限
\def\dbltopfraction{.7} % ↑の二段組 version
\def\floatpagefraction{.5} % 図表のみのページで図表の占める割合の下限
\def\dblfloatpagefraction{.5} % ↑の二段組 version
大体の場合他の TeX 組み込みのパラメータをいじるのと等価ですが、例えば table 環境などで個々の改行幅を調節したい場合、改行の後に \\*[-5pt]
のように書いておけば改行幅を減らせます。
LaTeX は section などの heading がページの一番下に来るのを嫌うので、一段組で論文を書いてるときにはかなり heading が次ページに送られてかなり余分なスペースをとってしまうことがあります。これは、\section などの前の段落の最後で \\*[-5pt]
などと書いて置けばうまく入ってくれたりすることがあります。
section などがページ内にうまく収まらないときに次ページに送られたりすると、ページ内の改行幅 や itemize / enumerate / description などの環境の item 間のマージンが広く取られてみっともなくなるときがあります。こういうときは以下を記述すればいです。
\setlength{\itemsep}{3pt} % item 間の改行幅
\setlength{\topsep} % 最初の \item と前段落との間の空白
\setlength{\partopsep} % 環境を新しい段落で始めた時の空白
次は数式です。数式をばしばし別行立てで書いていると、数行分に相当するためかなりスペースを食います。そういうときは、別行立てにしている数式のうち本質的でないものを文中にインラインで文章として埋め込めばかなりスペースを削減できます。ただし、これはときに重要な定義などの数式を文中に埋もれさせてしまうことになるので注意が必要です。
後一文字入れば一行に数式が収まるのに、というときは、詰めたい空白のあるところに \!
(\quad の -1/6 倍)を挿入してあげると、収まってくれることがあります。
また、数式環境の上下のマージンは以下で制御できます。
\setlength{\abovedisplayskip}{2pt} % 数式環境の上部のマージン
\setlength{\belowdisplayskip}{2pt} % 数式環境の下部のマージン
あまりおすすめできませんが、図表に関わるマージンをいじることも出来ます。そういうときは罪の意識を感じつつ以下をプリアンプルに記述します。
\setlength{\floatsep}{4pt} % 図表と図表の間のマージン
\setlength{\dblfloatsep}{3pt} % ↑の二段組 version
\setlength{\textfloatsep}{3pt} % 図表と本文の間のマージン
\setlength{\abovecaptionskip}{3pt} % 図表の caption と図表本体の間のマージン
\setlength{\belowcaptionskip}{3pt} % 図表の caption 下部のマージン
section のサイズを変更したり、マージンを本格的に変えたくなったら以下のようにします。デフォルトのサイズはやや大き過ぎて不恰好なので、多少は小さくした方が見栄えは良くなります。
% sections with less space, quoted from acl2001.sty
\def\section{\@startsection {section}{1}{\z@}{-2.0ex plus
-0.5ex minus -.2ex}{1.5ex plus 0.3ex minus .2ex}{\large\bf\raggedright}}
\def\subsection{\@startsection{subsection}{2}{\z@}{-1.8ex plus
-0.5ex minus -.2ex}{0.8ex plus .2ex}{\normalsize\bf\raggedright}}
\def\subsubsection{\@startsection{subsubsection}{3}{\z@}{1.5ex plus
0.5ex minus .2ex}{0.5ex plus .2ex}{\normalsize\bf\raggedright}}
\def\paragraph{\@startsection{paragraph}{4}{\z@}{1.5ex plus
0.5ex minus .2ex}{-1em}{\normalsize\bf}}
\def\subparagraph{\@startsection{subparagraph}{5}{\parindent}{1.5ex plus
0.5ex minus .2ex}{-1em}{\normalsize\bf}}
この辺りからはかなり凶悪です。極力使用は避けたいところですが、効果が大きいことは否定できません。
\renewcommand{\baselinestretch}{0.9} % デフォルトの行間に対する倍率
査読者に呆れられないためには 0.9 ぐらいまでに留めておきましょう。ただし、日本語の論文なら 0.85 くらいがちょうどいいかもしれません。
LaTeX のデフォルトは Computer Modern フォントですが、Times に比べると薄い上に幅を取るので、学会で指定がなければ Times にすると結構縮まります。どれぐらい縮まるかというと、付録を除いてComputer Modernで1カラム189ページの博士論文が,Timesだと183ページぐらいになります。短い論文や改行の多い2カラムだともっと有効だと思います。そこそこ効果があるのですが、最近は印刷の関係上フォントがTimes指定の学会が多いので使える機会は少ないかも知れません。
フォントサイズの変更は相当に凶悪です。これを使わないといけないときには基本的に論文の構成がそのページ数に適しているかどうか、冗長な説明になっていないか深く考察する必要があります。基本的には「負け」だと思って使ってください。ただ、table / arary 環境などのフォントサイズは変えた方が見栄えが良くなるときがあります。table / array 環境であれば環境中に \small
などと入れれば良く、参考文献や所属を小さくするなら{\small \bibliography{refer}}
、本文全体の文字サイズを小さくする場合は \documentclass{11pt}{article}
とします。10pt 以下は小さ過ぎるので使わないほうがいいです。
計算言語学の分野で使われるスタイルファイル集。取りあえず、入手先だけリンク(9月29日)
その他のリンク:
論文投稿の手段は、以前からのハードコピーによる投稿(FEDEXなど)に加えて最近では、 e-mail による投稿や CGI 経由の投稿が可能な学会が増えてきました。e-mail による学会投稿では、メールのテンプレートを作っておくと便利です。例えば以下のような感じ。
Dear Program Committee,
I would like to submit my paper to the Sixth ESSLLI Student Session.
The information of the paper is as follows:
Title: Grammar conversion from LTAG to HPSG
First author: Naoki YOSHINAGA
Address: Department of Information Science,
Faculty of Science, University of Tokyo,
Hongo 7-3-1, Bunkyo-ku, Tokyo, 113-0033, Japan
Second author: Yusuke MIYAO
Address: Department of Information Science,
Faculty of Science, University of Tokyo,
Hongo 7-3-1, Bunkyo-ku, Tokyo, 113-0033, Japan
I attached one file:
paper.ps.gz a paper
paper.ps.gz is in gzipped PostScript format. If you have any problem
in printing the paper, please let me know.
Best regards,
-----------------------------------------------
NAOKI YOSHINAGA / 06065 / Master@Tsujii lab.
Dept. of Infomation Science,
Graduate School of Science, Univ. of Tokyo
E-mail : yoshinag@is.s.u-tokyo.ac.jp
-----------------------------------------------
英語に関しては、失礼の無いよう注意してください。上のはあくまで一例です。
proof readingとコンコーダンスの話を書こうと思っていてほったらかし。
複数の表現で悩んでいるときに有用。google を使って、キーワードのヒット数でそれらの間に順位付けができます(気休めという話もある)。
いつも利用している論文校正のサイト。しかし、添削する人によって個人差が大きい気がします。もう少し一貫性を保って欲しい。
NLP関係の論文が置いてあるサイトですが、ページ内のGoogle Searchが論文表現のチェックに使えます。ネイティブの表現だけを取りたいなら、キーワードに USA OR UK と加えると良いかも。また、``*'' を使うと単語一単語にヒットするワイルドカードになります。これは便利。ここでヒットしない表現は避けた方が安全です。(表現に)オリジナリティの無い日本人とか言われそうですが、そんなの無くたっていいんです。内容にオリジナリティがあれば。
オンライン で参照できる LaTeX の Comprehensive な文書には以下のようなものがあります。
その他 Specific な文書で有用と思えるものには以下のようなものがあります。
その他 LaTeX 関連の文書はGeneral documentation about (La)TeXに集められています。一般的な論文作法については、Resources for writing papers としてまとめておいたのでそちらを参照してください。