屋久島。1993年に日本では白神山地と並んで一番早く世界遺産に指定され、1997年に「もののけ姫」が公開されて広く知られて以来、たびたび話題になる島である。最近ではNHKの朝の連続テレビ小説「まんてん」でブームとなった。1998年に一度訪れたが、2003年に再訪し、縦走などによりその本質に少しは近づいたと思われるので、部分的に記録しておく。自分(たち)にとって屋久島は、まだ終わっていない。
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ヤクスギランドから、紀元杉を過ぎて淀川登山口へと向かう途中、振り向けば川上杉。紀元杉の方は、バスでも辿り着けるし、樹齢3000年を超える屋久杉の中では恐らく一番アクセスの良い杉であるから、看板が立つなどやや観光地づいているのが、こちらは振り返らなければ気づかない。ここから先、縦走に行ったっきりで、結局荒川登山口から下山したため、危なく通り過ぎてしまうところだった。ところどころに様々な植物が寄生しているのが見てとれる。 |
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淀川登山口から淀川小屋を経て、小花之江河を過ぎると、高層湿原の広がる花之江河に至る。登山道は整備され、ところどころに木道が広がり、この花之江河にかかる様子は、少し尾瀬を思い出させるが、こちらの湿原は基本的に人が踏み入れるところが無いため、ただ通り過ぎるのみであった。 |
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宮之浦山頂は生憎の天気で視界が利かず、加えて雨のため道は悪路となり辛い登山となったが、体力を消耗しつつ自然の中を分け入って進んだ。屋久島も、この辺り1800m以上になると、どこからやってきたのか良く分らない巨大な花崗岩が横たわっている。ここは平石石屋。天候が急変したときなどはここに幕営する。ここではないが、宮之浦手前の投石岩屋では、幕営している人がいた。天気の回復を待っていたのであろうか。 |
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ここからしばらく屋久島の垂直分布を見ていこう。頂上からしばらくは、笹道が続き、ヤクシマシャクナゲが一面に群生している。これだけ数があれば、さぞこれらのシャクナゲが満開になる6月は綺麗なことだろう。梅雨の雨の中、山に登りたくなる気持ちが分るというものだ。この辺りには屋久杉は無い。 |
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しばらく行くとようやく森が始まる。この辺りは標高1600m程度、もう少しすると屋久杉がちらほら見え始める。屋久杉だけ見て屋久島を満喫したと思ってはいけなくて、屋久杉は、屋久島の代表的な植物の一つではあるけれど、全体の植生を考えると本当にごく一部に過ぎない。これは花崗岩から垂れるヤクシマシャクナゲ。山道を歩くヤクジカを見かけたのもちょうどこの辺りであった。 |
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標高1500m、高塚小屋まで降りてくると、深い屋久杉の森が広がる。ここから縄文杉までが、一番屋久杉が多い地帯ではないだろうか。屋久島を訪れる多くの人は、日帰りで縄文杉だけ見て帰って行ってしまうが、勿体無い。縄文杉を過ぎると木の階段等はほとんどないため、歩くにはそれなりの装備は必要だが、この辺りにきてようやく森に入ったと言えるのではないだろうか。 |
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今回は上から降りてきたので、自分たちの他には自分たちと一緒に新高塚小屋から降りてきたの人たちの他には誰もおらず、縄文杉を独り占めすることができた。今回は前回と違い、雨の中とあって、やや杉が生き生きしているように感じた。しかし、縄文杉は大きかった。自分の中の記憶よりずっと大きかった。今回は前回よりもより縄文杉に近づけた気がする:-) |
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縄文杉が昭和に入って発見されるまでチャンピオンだった大王杉。一緒に降りてきた屋久島在住のお爺さんが、「縄文杉が発見されてから、大王杉は誰にも見向きもされ無くなった」と言っていた。余裕の無い人は順位付けだけ気にして旅行先を観光して、本当に自分にとって価値がある物に対して盲目になる。大王杉は中が空洞になっていて、この空洞の中で昔は焚き火をしたりしたそうだ。 今回の縦走は少し大変だったが、次は天気がいい時に宮之浦岳に登れればいいな。 |
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さて、山を降りてからはユースに泊まり、レンタカーで島を回った。ここは島の東南にある、大川の滝。島のもう一つの代表的な滝である千尋の滝に比べれば、やや男性的な感じのワイルドな滝である。滝壺近くまで行けるが、あんまり近くに行くと水飛沫がすごいので、やや離れて全景を収めた。左下の方に、滝壺近くを歩く人の姿が見える。 |
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平内海中温泉という、一日に二度だけ入れる温泉がある。その温泉に入るため、3時に起きたので、ついでに日の出を見に尾之間の国民宿舎の辺りに行った。空気は澄んでいて、日の出が美しい。太陽は小さな光として姿を見せて、あっという間に煌々と輝き始める。その変化を楽しむことができるのは、日の出からたった10分程度しかない。 |
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大川の滝から世界遺産に認定されている西部林道の辺りを抜け、永田浜を越えた辺りに志戸子のガジュマル園がある。ガジュマルは熱帯産のイチジクの仲間で、幹から多数の気根を垂れる。やがて、それが土着し時間がたつと、どれが元の幹か気根か区別できないようになるらしい。屋久島が分布の北限で、しかも志戸子は屋久島の北にあるので、ここが北限中の北限?となる。 |
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さらにレンタカーを走らせ、宮之浦に入ると、白谷雲水峡へと向かう山道が始まる。今回は白谷雲水峡は時間が無くあまり回れなかった。これは飛竜落しと呼ばれる滝。今度、雨が降った翌日か、雨が強い日にまた来たいと思う。 |
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